スプーンてい鍼のひみつ

小さなころ、お母さんが「痛いの痛いのとんでけ~」としてくれたら痛くなくなっていましたね。

あれは、医学的見解からみても効果がある手法です。昔から、お母さんはみんなを癒してくれる存在だったのです。でも大きくなった今、毎日お母さんのそばへかけもどって、「痛いの痛いの」としてもらうわけにもいきません。

それどころか、子供のあなたが年老いた母や、小さなお子様へ「痛いの痛いの。。。」とやってあげる立場です。

昔は各家庭でお灸をしたり、治療所へ通って鍼をしてもらっていました。今も鍼灸は盛んにおこなわれていますが、夜中に治療所へ飛び込むわけにもいかない夜もあります。そんなとき、街のお母さんはお子さんの痛いところをさすって、和らげてくれました。

「手当て」という言葉があります。痛みや不調がある場所へ手をあてるということから生まれた言葉です。

痛む場所へ温かいものが広くかぶさるとヒトの体は痛みよりもそちらへ気を取られて、痛みを感じにくくなるという習性があります。昔の母親たちはこれを経験的に知って、連綿と応用してきたのでしょう。

　てい鍼はこれと少しだけ似ています。

刺さないのに効果を発動できるてい鍼は、鍼灸界でもすこし特別な種類の治療です。そして鍼灸治療の中ではもっとも安全で、使い方を覚えたらだれでも家族を助けることができる方法でもあります。

夜に病院が開いていない時間のお子様の不調や、どうしても痛み止めが効かない真夜中の生理痛、頭痛、歯痛など、こまった時に自宅で何とかならないだろうかと思ったことはありませんか？

このwithコロナの時代に、肩こりや腰痛がひどくて、マッサージに行きたいけど感染が怖くて控える日々という場合などもおありでしょう。

あすみ鍼灸治療室でご紹介しているスプーンてい鍼は、スプーンを温めて使用します。

そのため刺さる心配がなく、お母さんがお子さんへ、お姉さんが妹へ、自分自身へあなたが行っても安全なものなのです。

週に一回、通院して1時間治療を受けるだけよりも、毎週治療をうけ、あわせて朝に夜に自宅でも家族からや自分でもケアできるヒトとでは、治るスピードが違います。

免疫力も、健康力も回復力もちがってくるのです。

あなたが鍼灸師ではなくても問題ありません。刺しませんから大丈夫です。わたしが方法はお知らせします。スプーンは特別高価なものでなくても、ご自宅にあるもので大丈夫です。

なにより必要なのは治ってほしい、と心からおもう気持ちです。治ってほしい人がいて、その人のためにやってあげることができるなら、それは不愛想な医者よりも強力な治療の原動力となり得ます。

さあ、昔のお母さんにもできました。あなたにもできるはずです。

お母さんの手の代わり、より効果が期待できる物を使用して効果を上げましょう。まずはご自身で試してみて、それから続けるかどうかは考えてみてください。

まずは大まかな説明です。

◆てい鍼（ていしん、と読みます）とは◆

古来より続いてきた鍼灸治療の治療具の一つがてい鍼といいます。鍼（はり）は刺すものばかりではありません。さするもの、なでるだけ、押すだけが能力のものも存在します。

鍼灸師が使用するてい鍼はサイズはさまざまですが、おおむね短めのお箸のようなスティック状であることが多いです。

そして、あなたが使用するてい鍼はおうちのなにげないスプーンです。

◆準備する物◆

スプーン（ステンレス、スチール、銅、アルミ、陶製、どれもOKです。プラスチック製のスプーンは使用しません）

白湯（お湯は一度沸騰させたものを白湯のまま湯飲みに準備します。湯飲み以外でもスプーンがある程度つけられる深さがあるものならボール、お椀、茶碗、カフェオレボール、なんでもOKです）

温度計（ある場合にご準備ください。体感でも白湯の温度は確認できるので、なくても大丈夫です）

白湯の温度は大人であれば70度程度のものがあれば問題なく使用できます。沸騰直前でも動かし方をマスターすれば利用できます。

大人の場合：「温めたスプーンを肌へしずかに接触させた状態を3秒程度は我慢できる熱さ」のスプーンだと効果が求められます。ただリラックスを求める場合はこれほど熱く感じなくても利用できます。

子供の場合：温度は大人が確かめてぬるい温度（温度計があるならば４０度程度）で効果が期待できます。アツアツにしなくて大丈夫。

ではさっそく、大人をてい鍼していきましょう。やりかたを動画でご案内します。